水から顔を上げた瞬間、空気がいつもより濃く感じられることがあります。

サウナの水風呂でも、泳いだあとでも、長く息を止めたあとでもいい。ふだんは当たり前すぎて見過ごしている呼吸が、その一瞬だけ、はっきり前に出てくる。

ひと息が呼吸について考えるとき、出発点にあるのはこの感覚です。

呼吸は、まず「直すもの」ではない

呼吸について調べはじめると、「浅い呼吸を改善する」「正しい呼吸に変える」といった言葉に出会います。もちろん、必要な場面では技術や練習が助けになることもあります。

ただ、呼吸をいつも「直す対象」として見てしまうと、かえって息がぎこちなくなることがあります。

今この瞬間も、呼吸は続いています。眠っている間も、考えごとをしている間も、焦っているときも、体は息をし続けています。

まずは、その事実に戻る。

ひと息では、呼吸を上手にする前に、すでに続いている呼吸に気づくことを大切にしています。

水のあとに、空気へ戻る

水に触れたあと、空気が新鮮に感じられるのは、特別な呼吸法をしたからではありません。

ただ、息があることを体が思い出すからです。

「吸えている」

その単純な事実に気づくだけで、呼吸は少し違って感じられます。整えようと強く操作しなくても、吐いている、吸っている、という流れが見えてくる。

今日できる小さな練習

水風呂に入る必要はありません。

手を洗ったあと、コップの水を飲んだあと、シャワーを浴びたあと。水から離れた直後に、一度だけ息に気づいてみてください。

  • 吐いていることに気づく
  • 吸っていることに気づく
  • うまくやろうとしない

それだけで十分です。

呼吸は、どこか遠くにある技術ではなく、今ここにある感覚です。ひと息は、その感覚へ戻るための入口でありたいと思っています。