朝の電話では、いつもどおり話せた。
昼を過ぎても、大きな違和感はない。
けれど夕方の会議になると、声がかすれる。
聞き返されるたびに、息を多く使って声を押し出す。会議が終わる頃には、喉だけでなく肩にも力が入っている。
仕事中の声疲れは、「話し方」だけの問題ではないのかもしれません。
その日にどれくらいの声量で、何分続けて話し、間にどれだけ声を休ませたか。ひと息編集部では、この三つを並べて眺めてみます。
息を足す前に、声を使った時間を見る
声は、肺から出る息と、声帯や喉まわりの動きが重なって生まれます。
声が出しづらいと、「腹式呼吸でもっと息を出そう」と考えることがあります。ただ、そこで力を加えると、かえって苦しくなる人もいます。呼吸の練習だけで、声の疲れが一律に治るわけではありません。
先に見ておきたいのは、呼吸の深さより、その日の負荷です。
- 周囲の音に負けないよう、大きな声を出していなかったか
- 会議や電話が切れ目なく続いていなかったか
- 話し終えた直後に、また別の会話を始めていなかったか
三つすべてを記録しなくても大丈夫です。
次に声を使う予定があるなら、まず終わる時刻だけ決めておく。それくらいからでも。
終わった後に、5分だけ声を使わない
今日試すことは、一つです。
会議や電話が終わったら、5分間だけ声を使わない時間をつくります。
深く吸おうとしなくてかまいません。長く吐こうともしない。声を出さず、普段どおりの呼吸に任せます。
水分を少し取る。騒音から離れる。次の電話をすぐには入れない。そうして、話し続けていた流れをいったん区切ります。
この5分は、声のかすれを治すための時間ではありません。
休む前と後で、喉や息の使い方に違いがあるか。それを眺めるための短い時間です。違いが分からない日があっても、それで失敗ということではありません。
呼吸ワークより医療相談を優先したいとき
息苦しさや喘鳴がある、唾液も飲み込めない、突然まったく声が出なくなった。そうした場合は呼吸法を試さず、地域の救急窓口を含む医療機関へ早急に相談してください。
血の混じった痰、強い痛み、首のしこりがある場合も、「声を使いすぎただけ」と決めつけないほうがよさそうです。
声のかすれが改善せず3〜4週間続く場合は、耳鼻咽喉科へ相談する目安になります。仕事で日常的に声を使う人や喫煙歴がある人には、その期間を待たずに相談する選択肢もあります。
受診の目安は、NIDCDの嗄声に関する案内と嗄声の診療ガイドラインを参考にしています。
次のひと息へ
夕方の声には、喉だけでなく、その日ずっと続いてきた仕事の負荷が表れていることがあります。
次の会議では、始まる前に終了時刻を確認する。終わったら5分、声を使わない。
まずは一度。それで十分です。
声を出すとき、息まで押し出していないかをもう少し観察したい人は、呼吸法ホームから、負担の少なそうな入り口を探せます。