仕事を終え、PCを閉じる。
夕食の支度をしながら、今日、自分が発した声を思い返す。

オンライン会議では「承知しました」と言った。チャットにも何度か返した。けれど、業務連絡を除けば、誰とも話していない。

そんなことに、夜になって気づく日があります。

「今日の会話はゼロだった」と数えた途端、一日が少し心細く見えてくる。だからといって、今日を不健康な一日だったと決めなくてもよさそうです。

「1日何回」を正解にしない

会話や人との接触が多い日ほど、幸福感が高く、孤独感が低い傾向を示した研究はあります。

たとえば、スイスの65〜94歳、116人を21日間観察した研究では、その人の普段と比べて対面接触が多い日に、幸福に関する指標が高い傾向が見られました。

ただし、これは高齢者を対象にした観察研究です。成人全般について「毎日何回話せばよい」と示したものでも、会話による変化を証明したものでもありません。
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一方、米国インディアナ州の55歳以上、272人を調べた研究では、交流時間や相手の人数といった量よりも、情緒的な近さや、ストレスの少ない交流が孤独感の低さと関連していました。こちらも、対象や地域が限られた観察研究です。
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研究の結果は、きれいに一方向へ並んでいるわけではありません。

少なくとも、ここで紹介した研究からは、成人全般に共通する「一日に一回話せば大丈夫」という基準は示せません。

回数を埋めることより、今夜の自分にとって負担が少ない相手か。少し安心して言葉を向けられそうか。そのあたりを手がかりにしてもよさそうです。

連絡する前に、30秒だけ吐く息を待つ

誰かの顔は浮かんでいる。けれど、メッセージを送ろうとすると、肩や胸が固くなる。

そんなときは返信文を考える前に、30秒だけ、吐く息が終わるのを待ってみます。

  1. 楽な姿勢のまま、自然に息を吸う
  2. 息を押し出さず、吐き終わるところまで見送る
  3. 次の息が自然に入ってくるのを待つ

長く吐こうとしなくてかまいません。数も数えなくて大丈夫です。

これは、孤独を解消する方法ではありません。会話をうまく運ぶための準備でもない。ただ、連絡するかどうかを決める前に、自分がいま息を詰めていないかを見るための短い間です。

呼吸練習と不安やストレスとの関連を扱った研究はありますが、大規模な研究は不足しています。会話や孤独感への直接的な作用も確認されていません。
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今夜は、一通だけ考えてみる

呼吸を眺めたあと、話しやすい人が一人浮かんだら、短い文を一通だけ送る選択があります。

元気? 返事は急がなくて大丈夫です。

今夜の読後にすることは、それだけ。電話や外出まで予定しなくてもかまいません。

対面や音声通話、ビデオ通話などの利用頻度と、人生満足度や孤独感との関連を調べた観察研究はあります。ただし、各手段の効果や優劣を示した研究ではありません。
コミュニケーション手段に関する研究を見る

疲れが強いなら、今夜は送らない。それも失敗ではありません。

連絡する前に呼吸の様子をセルフチェックしたいときは、呼吸診断も参考にできます。「呼吸診断」は医学的な診断ではなく、回答に応じて一般的な呼吸習慣を案内するセルフチェックです。似た場面での短い呼吸については、送信前の30秒呼吸にもまとめています。

今夜は送るか、送らないか。その前の30秒だけでも。

孤独感や生きづらさが強く、日常生活を送ることがつらいときは、呼吸だけで抱えず、医療専門職や公的な相談先を頼ってください。窓口の受付時間などは変わることがあるため、利用時に厚生労働省の最新案内をご確認ください。

※研究対象や結果には限界や不一致があります。公開にあたっては、出典の内容と相談先の最新情報を人の目で再確認してください。