夕方、パソコンの画面を閉じる前。
なぜか大きく息を吸いたくなる。ひと息では足りず、何度も深呼吸をしてしまう。

「今日は疲れたから」と仕事に戻ったものの、席を立ってからも息苦しさが残る。そんな日は、呼吸法を試す前に見ておきたいことがあります。

「疲れ」だけで片づけない

息が浅く感じられる背景は、一つではありません。

緊張が続いた日に起こることもあれば、呼吸器などの不調を含む、さまざまな要因が関わることもあります。「自律神経の乱れだろう」と、その場で原因を決めるのは難しいところです。

横隔膜を使う呼吸については、ストレスに関する一部の指標に変化が見られた研究があります。ただ、採用された研究は少なく、条件にも違いがありました。疲労全般や病気を治療する方法だと確認されたわけではありません。
参考:横隔膜呼吸に関する系統的レビュー

呼吸法は、一時的に緊張をゆるめたいときの選択肢にはなりえます。
けれど、診断や治療、受診の代わりにはならない。その境目は残ります。

深呼吸より先に、3項目だけ残す

次に息苦しさを感じたら、まず一度だけ、次の3項目をメモしてみてください。

  • 始まった時刻
  • 直前にしていたこと
  • 休んだあとの変化

「17時ごろ/階段を上ったあと/座っても残った」。このくらいの短い記録で十分です。

自己診断をするためではありません。いつもの疲れ方と少し違うかどうかを見ること。そして必要になったとき、医療専門職へ状況を伝えやすくするためのメモです。

まずは、この3項目だけ。

呼吸法を試す前に、相談を優先する場面

急な息切れや呼吸困難があるときは、呼吸法で様子を見ず、119を優先してください。厚生労働省も、成人の「急な息切れ、呼吸困難」を、すぐに救急車を呼ぶ症状として案内しています。
参考:厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」

救急車を呼ぶべきか迷うときは、対応地域の救急安心センター #7119や、消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」で相談・確認できます。

急な症状でなくても、繰り返す、悪化する、ほかの症状が加わる場合は、呼吸法だけで済ませず、医療機関へ相談を。

セルフケアを試せる状態なら

緊急性がなく、休みながら一時的に呼吸へ意識を戻したい。そういうときは、無理のない範囲でレスキュー呼吸を確認できます。

途中で苦しさが増したり、めまいや違和感が出たりしたら中止してください。大きく吸うことを頑張らなくても大丈夫です。

ひと息は、症状を我慢するための道具ではありません。
「いつもと同じか、少し違うか」。立ち止まって見るための入口です。