目覚ましを止める。
昨夜は、7時間ほど寝たはず。
それなのに、布団から起き上がる前から体が重い。仕事の通知を開く前なのに、もう疲れている。
そんな朝は、「自律神経を整える呼吸法」と検索したくなるものです。
ただ、この重さをすべて「自律神経の乱れ」で説明できるわけではありません。
寝た時間と、休めた感覚は同じではない
睡眠には、眠っていた時間だけでなく、体内時計や日中の疲労、光など、いくつもの要素が関わります。
厚生労働省の情報では、睡眠と覚醒は、疲労の蓄積による睡眠欲求と体内時計による覚醒力のバランスで形づくられると説明されています。眠りのメカニズム(厚生労働省 e-ヘルスネット)
だから、「7時間寝たのに重い」という朝があっても、眠り方が下手だった、努力が足りなかった、とは限りません。
少し振り返るなら、夜になっても仕事の緊張が残っていなかったか。
布団の中で、返していない連絡を思い出す。
明日の段取りを、頭の中でもう一度組み直す。
気づけば歯を食いしばり、息も小さくなっている。
そんな夜なら、呼吸を試してみる余地はありそうです。
呼吸でわかっているのは「その直後」のこと
「自律神経が整う」という言葉は、少し大きすぎます。
研究で実際に測られているのは、脈拍や血圧、心拍変動、本人が感じるストレスなど、それぞれの指標です。
健康な18〜45歳の成人60人を対象にした研究では、一度の深呼吸運動のあとに、脈拍や血圧、主観的ストレスなどの変化が確認されました。研究概要(PubMed)
ただし、調べられたのは単回実施の直後です。睡眠の質や翌朝の疲労、長く続く重さを確かめた研究ではありません。
その場で緊張が少しほどけることと、翌朝すっきり目覚めること。同じ話にはせず、いったん分けておくのがよさそうです。
今夜は、吐く息を少し長く。3呼吸だけ
布団に入ったら、楽な姿勢になります。
大きく吸おうとせず、まずはいつもの呼吸から。
吸ったあと、苦しくない範囲で、吐く息だけを少し長くします。
繰り返すのは3呼吸だけです。
秒数をそろえなくてもかまいません。深く吸うことも、長く続けることも目標にしない。
翌朝、起きたときの感覚をひとことだけ残します。
- 軽い
- 同じ
- 重い
一晩で答えを出すためではなく、自分にはどうだったかを見るための記録です。変わらなくても、それはそれでひとつの手がかりになります。
ひと息編集部が呼吸を扱うのは、呼吸だけですべてを変えたいからではありません。仕事の緊張を翌日まで運んでいないか、自分の状態に気づく入口として。
苦しくなったら、そこで終える
呼吸をゆっくりにして息苦しさやめまい、不安が出たら、その場で中止してください。合わないのは、練習不足だからではありません。
また、強いいびきや睡眠中の呼吸停止を指摘される、日中に起きていられないほど眠い、といった状態は、睡眠時無呼吸などのサインである場合があります。睡眠時無呼吸症候群(厚生労働省 e-ヘルスネット)
朝の重さや疲労が続くときも、呼吸法だけで済ませず、医療専門職へ相談してください。
今夜試すなら、まずは3呼吸。それだけで十分です。案内に沿って行いたいときは、レスキュー呼吸へ。
この読みものが合いやすいタイプ
布団に入っても、仕事の緊張や考え事が残りやすい人。